Enforcement Activities – Japanese

取締活動

取締小委員会(ENFO)は、 NPAFC条約の規定遵守に関して、締約国の漁業取締機関で調整・情報交換を行うフォーラムです。

背景と主要成果

取締小委員会の第一回委員会は、1993年にカナダのオタワで行われました。1993年の締約国による共同監視活動は、のべ40隻の巡視船で1,400日以上、1機のヘリコプターと3機の監視航空機で1,100時間以上実施されました。この期間中、無許可活動を実施した6隻の船舶が視認され、その内の2隻は拿捕されました。貿易情報、条約違反を疑われる溯河性魚類の密売に加え生鮮・冷蔵・冷凍サーモンの輸入統計の検証も行われました。1992年の国際貿易データは、サケ・マスを生産しない諸国がEU及びオーストラリアへ缶詰及び冷凍サケ・マスを輸出し続けたことを示していました。これらのサケ・マスの多くは公海で違法に採捕されたと推定されました。そのため、違法に漁獲されたサケ・マスの取引(貿易)を抑制するために生産水域証明書プログラムについて検討しました。

1994年には、北太平洋における無許可の公海サケ・マス漁業活動は認められませんでした。このような漁業は、公海での大規模外洋性流し網漁業の全面的停止を求める国連総会決議に違反し、溯河性魚類資源の保存へ悪影響を与える恐れがあります。

1995年に米国は、条約水域の公海で流し網漁業を操業していた1隻の無国籍船舶を発見したと報告しました。当該船舶は拿捕され、米国のグアムへ移されました。締約国は、必要に応じて、非メンバー国・団体に対して保存及び管理のための国際的な措置の公海上の漁船による遵守を促進するための協定の加入書を可能な限り早急に寄託するように促すべきであるとの勧告が出しました。これは、非メンバー国に対し、条約の他の目的・原則を支持し協力することを義務付けるためのメカニズムとなり得るものです。

1996年には、締約国の協調的な取締活動によって、条約水域内で大規模流し網漁業を操業していた台湾の流し網船舶が発見されました。台湾取締当局は、米国政府からの要請に応じて、当該船舶を拿捕し、船長と乗組員を逮捕しました。

1997年には、条約水域の域内あるいはその近くで違法な公海流し網漁業活動を実施した6隻の船舶が発見されました。その内の1隻は中華人民共和国に登録されていました。中華人民共和国は、当該船舶が中華人民共和国の当局により最終的に拿捕されたと表明しました。米国は、カナダ及び日本と協力し、条約水域で漁獲した無国籍公海流し網船舶を拿捕しました。もっと読む

1998年の協調的な取締活動の結果、複数の公海流し網船舶が発見され、その内4隻が拿捕されました。もっと読む 条約水域における公海漁獲の継続的な脅威のため、全締約国は、無許可漁業活動を抑制するために1999年にも取締活動を1998年と同じようなレベルで実施するように誓約しました。

取締基準化シンポジウムが、1999年、アラスカのコディアックで開催されました。「取締りの実践にかかる基準化のための質問リスト」がシンポジウムで作成され、計画立案の支援を行い、 公海流し網(HSDN) のパトロールにかかる有効性を向上させました。取締計画・調整会議が2000年に東京で開催されました。会議では、HSDN取締りの実施に関して担当機関の組織構造が主に議論され、HSDNのケースにおける主な連絡先についての情報が交換されました。

取締りの協力・協調の向上に貢献したNPAFCの取締りにかかる催し及び活動が、2001年に実施されました:漁期前の取締計画会議はカナダのビクトリアで、特別パトロール調整グループは米国沿岸警備隊によってアラスカのジュノーで、取締評価・調整会議はロシアのペトロパブロフスク•カムチャツキーで開催されました。

2001年、ロシアのペトロパブロフスク•カムチャツキーから、締約国の代表者達とともに飛び立った米国沿岸警備隊C-130哨戒機による条約水域の最初の取締パトロールによって、まさにこうした国際協力のレベルに脚光が当てられました。2002年には、統合作戦情報調整グループにおいて作戦コンセプトが採用され、既存及び他の可能な取締活動を見直すべく取締手順ワーキンググループが創設されました。

2003年から2006年にかけて統合情報システム(IIS)が開発されました。このWebベースのプログラムは、情報を共有し、年間を通じてリアルタイムの取締実施を促進するために設計されました。 2006年に初の共同実施計画が作成されました。すべての締約国(カナダ、日本、韓国、ロシア及び米国)の協力から得られる包括的な計画では、脅威が高まるシーズンを通した条約水域の巡視船及び航空機による監視が含まれていました。取締シンポジウム「NPAFC条約水域におけるパトロール戦略、計画立案及び取締りの実施」も2006年に開催されました。シンポジウムの目的は、各国の機関からの教訓と優良事例を共有するため、各国の取締専門家を招集することでした。

公海流し網漁業禁止に関する国連総会決議に従い、台湾当局は、北太平洋における台湾船舶による公海流し網(HSDN)漁業を禁止するために、遡河性魚類資源の直接漁獲、HSDN漁業、流し網の漁具と設備の海上運送、外国の流し網漁船の入港を禁止しました。台湾は、自らの巡視船を出動させ、台湾に登録された船舶に対する漁業規制をかけ、北太平洋の漁場で活動するイカ及びサンマ漁船で臨検を実施し、この情報をNPAFCに報告します。2005年から2012年にかけて、台湾はNPAFC条約水域の西南部を監視するために1~3隻の巡視船を年毎に84日~242日間のパトロールに出動させました。パトロールの際に台湾巡視船により発見された4隻のHSDN船の写真及び違法漁業活動の詳細な報告は、NPAFC締約国による取締活動にとても役立ちました。

2007年、ENFOは中西部太平洋まぐろ委員会 (WCPFC; www.wcpfc.int) の技術遵守小委員会(TCC)及び北太平洋沿岸警備隊フォーラム (NPCGF) の漁業ワーキンググループ(FWG)との協力プログラムを開始しました。

2008年には、史上初の北太平洋における国際 IUU(違法、無報告、無規制) 漁業ワークショップがカナダのバンクーバーで開催されました。参加者はNPAFC ENFO、NPCGF、FWG、WCPFC TCC及び国際監視ネットワークを含む漁業取締りに関係する数多くのグループが含まれていました。これらの組織は、国や機関によって会員数と代表者が、監視体制、水域及び対象種に関する条約の規定が異なります。どのような機関にも共通しているのは、太平洋の天然海洋資源を保護し、IUU漁業と戦うための強力な権限を有していることです。

2008年から2009年にかけて、カナダは、NPAFC条約水域における船舶活動を監視する手段として、新たに打ち上げた地球監視衛星(Radarsat2)を採用しました。宇宙ベースの自動識別システム(AIS)も、Radarsat2により提供される船舶情報を強化するための追加ツールとして採用されました。

2010年、米国は、締約国の取締機関の自主的な参加を得て、隔週電話取締会議を開始しました。これらの電話会議は、取締パトロールを調整し、事件情報を更新するのに効果的なリアルタイムのコミュニケーション・ツールです。

2011年には、取締協力が公海における違法漁業を抑制することに成功しました。日本水産庁の航空機によって、無国籍漁船1隻が視認されました。この情報は米国沿岸警備隊に伝えられ、米国沿岸警備隊は巡視船を出動させたところ、当該船が、認可なく違法大規模公海流し網漁業を操業していることを確認しました。米国沿岸警備隊は洋上検査を実施し、30トンのイカ及び54尾のサメが発見されました。当該船は、米国の法律に違反したとして拿捕されました。 もっと読む

2012年、委員会の締約国は、条約水域における共同取締りも成功裏に継続しました。パトロールの実施は、153日の船舶パトロール、370時間以上の航空機パトロール及びレーダー監視衛星の利用による組み合わせからなっていました。

NPAFCに関係する取締機関による2013年の共同監視活動は、120日以上の船舶パトロール、498時間の航空パトロール、衛星のサポートからなっていました。メンバーは、共同の船舶パトロール、他の締約国の航空機及び船舶パトロールの職員が参加し、定期的な電話会議を通して協力しました。

2014年には、多国間の協力により、取締活動で著しい成果がありした。米国沿岸警備隊の航空機によって、2隻の疑わしい船が視認され、その内の1隻は有効な漁業許可証を所持していなかったとして、ロシアで拘束されました。別の一例では、日本水産庁の監督官2名が同乗したカナダのCP-140航空機が、公海流し網(HSDN)操業が疑われる船に遭遇しました。米国沿岸警備隊巡視船の取締当局者が、当該船を調査した結果、夜間に、送網管、ネットローラー及び3.3㎞の長さの流し網が、海上投棄されたことが確認されました。また、当該船の冷凍庫に、0.5トンの流し網の傷跡を有するサケが発見されました。 もっと読む

NPAFC締約国取締当局の多国間共同取締活動の結果、2015年に公海流し網又はIUU漁業は確認されませんでした。2015年の締約国による共同取締活動は、NPAFC条約水域の広範囲において、取締船で100日以上、航空機で400時間以上実施されました。本活動により、500隻以上の漁船が視認されましたが、違法漁業を行うものは認められませんでした。また、複数の運搬船の検査を行いましたが、公海で漁獲したさけ・ますは認められませんでした。このことから、高いレベルでの協力と監視取締活動への努力が、IUU漁業の強い抑止力となっていることが確認されました。

2016年には、日本水産庁の取締船によって、条約水域内で流し網の設備(送網管、ネットローラー)及び流し網用のラジオブイを搭載した中華人民共和国の国旗を掲げた疑わしい漁船が確認されました。米国沿岸警備隊の監視航空機によって、ベーリング海の条約水域内で、国旗を掲げず船名が塗り潰された冷凍貨物運搬船が確認されました。取締小委員会は、運搬船や補給船に対する取締活動の拡大について検討しました。

警戒体制を継続することは、大規模な公海流し網の脅威の継続的な抑制に不可欠であり、北太平洋における持続可能な漁業管理とサケの保護のための必要条件です。取締機関の間では、数多くのパトロールや高いレベルでの共同取締りが現在も続いています。